コンクリートを水から守るために
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まとめ

地下構造躯体の耐久性という観点から、地下外壁を外界(土、地下水など)と何らかの方法で遮断して保護することは非常に理にかなっており、防水層こそが地下躯体の「保護層」に成り得ると言えましょう。そのため、地下外壁は信頼のおける防水層で保護する必要があるのです。
「信頼のおける防水層」が地下躯体にとって必要なものであることは一般に理解されますが、具体的な判断基準となるとなかなか難しいものがあります。屋上防水等でどんなに実績や信頼があっても、地下部分の施工には適さないものもあるからです。
防水材料・工法にも実に多様な種類があり、ここでは「先やり防水」という「地下躯体工事と並行して施工する必要がある」極めて特殊な施工環境に耐え得る防水という観点で各種の防水材料・工法を比較検討してみました。
しかし「完璧な地下外壁防水」は、作業空間を設けた従来工法である躯体への外防水(後やり防水)でも困難なことであり、まして「先やり防水」においてはこの比較表に沿って材料・工法を選定し、どんなに慎重に施工を行ったとしても難しい、ということも認識しておく必要があります。
様々な工種が錯綜する現場では、何が起こり得るのか予測ができないことも多く、防水工事だけに全てを期待することができる状況ではないためです。
では、「完璧」とは言い切れない地下外壁防水工事をわざわざ手間と時間と費用をかけてする必要があるのか?という声も聞こえてきそうですが、ここで勘違いしてはいけないのは、「地下外壁防水」の目的は、必ずしも“漏水防止”だけではなく、その真の目的は大所高所から見て“地下躯体保護”、強いては“地下水の保全”、“排水負荷・負担の軽減”にあるという点です。
現実の施工状況を鑑みると「先やり防水」による「完璧な地下外壁防水」は難しく、従って「完璧な地下躯体保護」も難しいと言えましょう。しかし「完璧」を目指して追求し続け、発展する努力は怠るべきではないと考えています。
本小冊子がその発展の一助となれば幸いです。